焦点

でっかいことに焦点を

100047: 人間は考えても無駄である−ツチヤの変客万来(72冊目)

土屋賢二 著

哲学者の土屋賢二さん。
この人の書く本は本当に意味がわからない。
意味がわからないと言ったって、意味がないから仕方ない。

頭の回転がフェラーリより速い。
ああいえばこういう、というスタイルを取らせたら日本一、いや、宇宙一じゃないかと思える。

その土屋賢二さんが、「人間は賢くなったのか」という命題を引っさげて4ジャンル、5人の方と対談したものをまとめたのがこの本。
各対談はそれぞれ、対談相手がボケ、土屋さんがさらにボケ返し、助手がザックリ切り落とすという流れで進む。

土屋さんの頭のキレは尋常じゃない。
そして助手の働きが絶妙。
過去に、森博嗣さんとの共著「人間は考えるFになる」という本を読んだことがあるが、その本とも毛並みが違う。

森博嗣さんも天才であるため、切れ味でいうならそっちの方がはるかに高い。

しかし、こちらの本は、マジメな土屋賢二が垣間見れる。
そんな意味で、土屋賢二さんの本を読んだことがある人にはお勧め。
初めて入るなら、「われ笑う、ゆえに我あり」をお勧めしたい。

p.112「人間がどこまで愚かになりうるか、どこまで勇敢でありうるか、どこまで残酷になりうるか、状況がどれほど人間を変えうるか、そういったことを教えて視野を広げないと、人間のことも自分自身のことも理解できないし、賢明な選択はできない。それを教えるにも文学は必要じゃないかな。」