焦点

でっかいことに焦点を

100011: 大学の話をしましょうか

森博嗣 著

100006: 森博嗣ミステリィ工作室に引き続き、森博嗣さんの著書。

今回は大学の話。
森博嗣さんは、元国立大学の助手と助教授をされており、20年近く大学に所属していたそう。

その過程で観察した内容が、大まかに3つに分けられ、学生、大学、自分の順にQ&A集の形で書かれている。

相変わらず、非常にシャープかつクリアな思考。


シャープとは?
日本語にすると、切れ味の鋭さ。
言い換えると、新たな視点、とでもなるのだろうか。

聞いたことがない考えであるだけなら、それはただの変な考え。
聞いたことがないにも関わらず、聞いてみたら「確かにそうだ」と思い、ポンと膝を打つ気持ちになるような考え。

ただ、これは難しいなぁ。
「受け手にとって新し」く、「受け手が理解できる」レベルの思考。
かつ、聞いた人にとって何らかのメリットを有する必要もある。


クリアとは?
バイアスがかかっていない視点。
周囲からの伝聞については考慮に入れず、自分が観察した範囲で構築した世界についての言葉たちのこと。
自分で観察する。
それに対し予断(過去の記憶を用いた判断)を入れずに判断する。
実際に、観察したものだけから考えを抜き出すことは、記憶がある限り不可能。
不可能なことを限りなく可能に近づけるためには、「自分のバイアスを認識」することが必要。
「自分のバイアスを認識」するためには、一つ上の視点に立つ必要がある。
そのためには、観察した内容が本当にそのとおりなのか、他の人にとってもそれはそうなのか、ということを問い続けることが重要だと思う。


この本で得た驚きは、「文章が上手な人というのは、いろいろな人物になって文章を読める人」という考え。
読んだ人がどう感じるのか、ということを、いろいろなタイプによってより沢山想像できることが出来る人が書く文章が、力のある文章。

そして、文章を書く力はまず自分で文章を書き、何度も直すということで培われるものだという。
それも、人が読むことを意識した文章。

自分に対するメモでは意味がない。

この自分っていうのは一人なのか?
自分に対するメモでも、様々な人格が読むことを意識したらいいのでは?

いや、それじゃ物足りないか。
完全に他人を想定するから、自分とは違う考えの「読み」ができるのだろう。


うーん、、、