焦点

でっかいことに焦点を

090016: 思考の整理学

外山 滋比古(とやま しげひこ) 著

この本の帯に「100万部突破。」や、「東大・京大で1番読まれた本」と書いてあることに惹かれ、読んでみた。

まずはグライダー人間と飛行機人間についての記述から始まる。
自分で飛べないか、自分で飛べるか。
そのように分けるだけで終わらず、これからの社会は情報の社会であり、グライダー人間をやめることはできないので、いかにグライダーにエンジンを搭載するかということを考える必要があると書いてある。
この章は「自分で翔べない人間はコンピューターに仕事をうばわれる」という一文で閉められている。
とてもインパクトのある一文。
この本を通して、この観点が常に底の方に流れている。

思考を整理し、熟成させ、一段上のものに変化させるために著者が行っている様々なことが詳細に書かれている。
例えば、何か新しいことを考える際には、思考を寝かせる必要がある。
思考を寝かせるために、アイデアをノートに移し、移したアイデアが良さそうであれば、もう一段階思考を進展させるため、「メタ・ノート」にもう一度移すこと。

他には、忘れることの重要性。
特に凄いと思った章は、「時の試練」。

この本のエッセンスはこの章の最後の一文に集約されていると感じた。
「思考の整理とは、いかにうまく忘れるか、である。」



内容もさることながら、文章も流麗で温かみのあるもの。

すいすい読み進めることができるが、それは簡単ということではない。
再び読み返すと、新たな一面が見える。

何度読んでも、同じことが書いてるようには思えない。


その時々の自分の置かれた状況や、感情により見せる相(aspect)が異なるのだろう。


時々開いて読み返していきたい。

自分の成長がこの本に鏡のように写されて見えるんじゃないかな、と感じた本です。