【リブロジ040】3.3 論理の組み立て方入門(データクレームワラント)の補足と考察【追い込み版】
理系が文系に伝える実践的ロジック。の略。でリブロジ。
今年2016年の1月からスタートしたこのブログ。
すでに12月。今週は出張中、冬のニューヨークからお送りします。
ここまでついてくれている人も、この1年弱で成長を感じられていると嬉しいです。
僕も、この連載をスタートしてから、自分のロジックの甘さに反省と恥ずかしさでいっぱいになることができました。
まぁこれも成長、ということで。
ほな今回の課題。
あえて、追い込みます。笑
前々回の記事の宿題で、3つの文例についてロジックを考察いただき、
前回の宿題で、それらのロジックについてご自身で指摘頂きました。
今回は、僕がさらに考察していきます。
先に今回の宿題を言うと、うっすら予想頂いているように、今一度、考察の深堀をしていただきます!
こうやって垂直的に掘り下げることで深さが深まり、
深さが深まることで幅も広がります。
たとえば砂場に深く穴を掘るときのような。
垂直に掘り進めていったとしても、深く掘った後の形はすり鉢上になっているはず。
深く掘ろうとすることで、水平方向にも知らず知らず広がりができて「しまう」事例としてイメージにおいていてもらうとやる気がでる(よ!)。
(一番最後まで書いたあとの追記)
そして。一番最後に、一番大事なことを書いたので、そこまで踏ん張って読んでください。
ということで。
今回の1つめ。
ー引用①ーーーーーーーーーー
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2つ目!あまりプライバシーには触れないようにしながらだけども、ある役所職員が無許可で私有車通勤をしていて懲戒処分を受けた、という話。この職員の主張を考えたい。
◼︎文章(抜粋)
職員は、職場近くの大型商業施設の駐車場に自家用車を止めるなどして(かなり頻繁に)通勤していた。市の調査に対し「雨の日(や遅刻をしそうになったとき)に車を使っていた」と話しているという。※遅刻は論外なので、焦点から外す
◼︎分解
①データ
雨が降っていた。
②クレーム(書いていないので想像)
普段は自転車通勤だが、濡れてしまう。公共交通機関は、便が悪い。車で来れば、濡れなくて済むし、時間的効率良く通勤できる。
③ワラント
雨の日は、車で来ても構わない。
◼︎補足
かつて自転車通勤してた身としては、普段自転車で雨の日は車通勤も可、というルールがあれば良いのに、と思う。(この職員のケースには多分当てはまらないが。)
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まずは、主観は信憑性が低い、ということで、「かなり頻繁に」という表現はデータとして弱いと思う。実際、この記事には元々、具体的な頻度(◯月〜◯月の◯ヶ月間で◯回、◯月と◯月は一ヶ月で◯回)が書かれていたのだが、主観的な表現に書き変えるのは良くなかった。とはいえ、そもそもどうやって職員が通勤に車をしたことが、具体的な回数として分かったのか?駐車場の記録を確認したのか?監視カメラを分析したのか?
また、分解でのデータとして「雨が降っていた」とあるが、それがこの問題行動の根本の原因か?考察が表面を走っていないか?この職員が、なぜ懲戒処分を受けるまで、無許可での自動車通勤を続けたのか?
データが弱いと、クレームもワラントも崩れてしまう。データの客観性と、クリティカルかという観点には、こだわろう。
ー考察①ーーーーーーーーーー
まずデータ。
「かなり頻繁に」が弱いことに気づいてくれてめっちゃ嬉しい!
必ず数字を書く癖をつけたほうが良い。間違いない。
さらに、提案頂いた内容をさらに要約するなら、「16年度出勤日数のうち約○○%」とか。
同じ内容を維持したまま、文字数を減らして、密度を上げる。
もっというと、データの後半で書いてくれてる裏づけの観点はおどろきました。
これは次回以降に出てくるのでお楽しみに。笑
もし今までディベートを勉強していないのにここまで届いたら、すごいセンスがいいと思う(か、仕事で揉まれている?笑)
続いてクレーム。
このクレームを論破しようとしたら、同じデータから逆の結論を導くロジックはいくつか思いつくと思う。
ので丸投げしてみよう。笑
これはいったん感覚を捨てて、同じデータ(雨が振っている)から逆のクレーム(私有車以外で出勤する)という論理をランダムに挙げてみてください。
まぁ、普通なら、自家用車になる気もするけど、練習がてら今一度、雨→自家用車以外(の具体的何か)を説明できるようなワラントを想像してみてくださいませ。
続いて。
ー引用②ーーーーーーーーーー
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3つ目!ガンジーについてのブログ文章を転記しています。本来、軽々しく語って良いものでもないでしょうし、内容には触れず客観的な分解に活用させていただきます。
◼︎文章
インドで近代化や工業化が現実には失業を増やし、貧困問題を大きくしている現象を目の当りにし、すべての人が食べるものや着るものに不自由しない生活が送れるようになることが、本当の独立であるとガンジーは説きました。
◼︎分解
①データ
インドで近代化や工業化が進むにつれ、近代化や工業化が現実には失業を増やし
②クレーム
インドでは、近代化や工業化が貧困問題を大きくしている
③すべての人が食べるものや着るものに不自由しない生活が送れるようになることが、本当の独立である。(自給自足を基本とし、自分で作り出さないものは欲しがらない。)
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さて、なぜこの文章を選んだのか。データ、クレーム、ワラントが書き出されており、分解しやすいと思ったからだ。では、データは強いデータか?
ここでのデータは、「失業者が増えている」というもので、定量的ではない。失業率の推移があるとより良かった。更には、なにをもって「近代化や工業化」が進んでいる、言えるのか。これも定量化できるとより説得力が増す。例えば、1〜3次産業に従事する人口の推移や、輸出品目比率の推移など。
そして、クレーム。②の書き方は少し飛躍している。もっとロジカルに言うと、「失業者数の増加が貧困問題を大きくしている」となるべき。反省。
しかし、失業者数の増加、イコール貧困問題が大きくなることか?人口が爆発的に増えていたら、むしろ失業率は減っている可能性はないか?やはり定量的でないデータであり、クレームも説得力が欠ける。
但し、この文章で圧倒的にデータを強くしている個所がある。「〜と、ガンジーは説きました」だ。ガンジーという、歴史に残る偉人の言葉となれば、信憑性は一気に高くなる。
ー考察②ーーーーーーーーーー
データについて。
挙げてくれている例がいいね!
失業者の推移とか、1~3次産業(さすが文系!)、輸出品目比率(さすがその仕事!)。
ここでさらに視点を分解すると(練習やからね)、
A.絶対値を見る観点(同時期の別グループとの比較など)
B.変化量を見る観点(別時期の同グループとの比較など)
の二つに分けるとやりやすいかな。
挙げてくれている単語について、指摘をするなら、
>インドで近代化や工業化が進むにつれ、近代化や工業化が現実には失業を増やし
A:①近代化や工業化、失業の何%?②他の地域と比べて多い?少ない?
B:③それぞれ何%から何%になった?④ある期間での変化「率」は何%?(CAGR含む)⑤同じ期間での変化率(およびCAGR)を他の地域と比較するとどう?⑥別時期、例えば産業革命のときと比較したらどう?
コメントを確認すると、③(失業率についてのみ)、①(近代化、工業化のみ)、は指摘頂いているので、さらに水平展開できるといろんな観点からデータを指摘できるはず。
水平展開するには表にするのが有用。
今回の①~⑥を横軸に、「近代化」「工業化」「失業」の3つを縦軸にして、合計18個のマスを作るともれの無い議論が可能。
そこまで展開して、特に重要な1~3点について議論することが重要。
ここまで(頭の中だけでも)していないと、相手の指摘に応えきれない。
サイバーエージェントの社長やったかな、の記事で、「いくつか質問して、ちゃんと答えられたら相手がしっかり考えていると判断してOKを出していた」という内容をみたことがある。
これが意味していることは、ちゃんとロジカルに縦軸横軸(奥行き、斜めまで)分解して、全てをつぶした上で、重要な点に絞り込んで判断する、そういう過程を踏めているかどうかが成否を決める要素の一つということ。
いや、めっちゃめんどいよ。笑 でもそれがやっぱり大事。
長くなった。
次にワラントについて。
もう一度整理してみると、僕の意見では構造が異なっていて、
データ:「失業が増え、貧困問題が生じている」
クレーム:「インドは本当の独立ができていない」
ワラント:「全ての人が食べるものや着るものに不自由しなくなることが本当の独立の必要条件である。」
だと思う。
■参考→必要条件、十分条件
この辺を前提として、後半部分を再考いただけますか?(基本としてクレームについては言及しない、ワラントはデータからクレーム導くための論理)
最後に、一番大事なことを。
「歴史に残る偉人の言葉となれば、信憑性は一気に高くなる。」
これはロジックの世界では関係ない。
むしろ思考停止に陥る可能性があって非常に危険。
好き嫌いの話は別として、論理的かどうかは、
それらしい人がそれらしいことを言っているときに、
常にデータとクレーム、ワラントに分けて論証が必要。
自分の頭で考えることをやめない。
この考えをぜひ、持っていてくださいませ。
ということで。宿題。
今回の記事で書いたことを参考に、下記4項目で考察お願いします。
1.引用①のデータについて
2.引用②のワラントについて
3.引用③のデータについて
4.引用③のワラントについて
ほな!