090011: 坊っちゃん
夏目漱石 著
最近、昔の本も読もうと心がけています。
そこでまず読んだ本は、夏目漱石の名作「坊っちゃん」。
およそ一年前に、同じ夏目漱石の「こころ」を読もうと思ったことがありましたが、
そのときは文体になじめず途中で挫折していました。
しかし、それから日本語の書き方や話し方について勉強をしてきた成果か、
今回はこの文体にもすっとなじむことができました。
夏目漱石は日本語の天才だったとどこかの文章で読んだのですが、
今回改めて読むことにより、
尋常じゃないレベルできっちりとした文章を書いているんだな、と
自分の肌で感じることができました。
この本の主な舞台は四国。
時期はおそらく明治時代。
主人公は東京生まれで、清という心の清らかな、やや世間知らずともいえるおばあさんに育てられた。
大学で物理学を専攻し、卒業後に先生のすすめで四国の中学校の先生となる。
しかし、先生としての仕事が始まって早々、団子屋や蕎麦屋で何を食べただの、宿直の際にはばったを布団に入れられ夜中に大騒ぎするだのと、生徒にからかわれ続ける。
さらに、赤シャツとあだ名をつけた教頭にいいようにもてあそばれ、うらなりとあだ名をつけた非常に良い先生が左遷されてしまうことを止めることができずに悔しい思いをする。
最後には、途中喧嘩した後に意気投合していた先生と二人で、赤シャツと野だという二人に天誅を加えようと試みる。
話全体を通じて、主人公の心のまっすぐさ、筋を通す強さ、清に対する信頼と尊敬が描かれており、読んでいてとても気持ちがいい。
自分の普段の行動、思考パターン、感情のパターンにこの主人公の要素を加えたい、と思える。
実際に加えるにはどうすればいいのだろう。
軽々しく言葉を口にする前に、筋が通っているか考える。
筋を通すかどうか、は、強さというよりねばりなのかな。
最後まで負けなければ、勝ち。
物理的なものを求めるのか、自分の心のまっすぐさ、正直さを求めるのか。
100%の正解はないが、この主人公のような生き方にはあこがれる。
あこがれるが、簡単ではないのかな。
立場、お金、人間関係、そういったものを「うまく」回すには、赤シャツや狸(校長)のような面も必要なのかな。
まっすぐぶつからずに、筋を通す。
あれ、それだと赤シャツと同じか?
数日のスパンではなく、半年一年のスパンで筋を通せるかどうか。
それでいいのかどうか。
それで僕は満足できるのか?
今日から、筋を通す。